鏡を見たときに、「なんだか以前より歯が長くなった?」と感じたことはありませんか?通常、大人になってから歯そのものが目で見て分かるほど長くなることはありません。「歯が長くなった」と感じる場合、その多くは歯ぐきが下がり、これまで隠れていた歯の根元が見えてきたためです。このように歯ぐきが本来の位置より下がり、歯の根元が露出した状態を「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」といいます。これは加齢とともに多くの人に見られる現象ですが、老化だけでなく、日々の生活習慣や歯の病気が原因となっている場合もあります。歯肉退縮が起こると、見た目だけでなく、知覚過敏やむし歯などのトラブルにつながることもあります。

★歯ぐきが下がる主な原因
① 歯周病
歯周病が進行すると、歯ぐきに炎症が起こるだけでなく、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が少しずつ失われていきます。それに伴って歯ぐきが下がり、歯が長く見えるようになることがあります。歯周病は、初期には自覚症状が少ないまま進行する病気です。「歯がグラグラする」と感じる頃には、歯を支える歯周組織がかなり失われている場合が多く、最終的に歯を失う原因にもなります。
② 強すぎる歯みがき
「しっかり磨こう」とするあまり、歯ブラシを強く押しつけていませんか?強い力で歯みがきを続けると、歯ぐきを傷つけ、歯肉退縮につながったり歯が削れて沁みる知覚過敏症状が出ることがあります。歯みがきは、力を入れれば入れるほど汚れが落ちるわけではありません。自分に合った歯ブラシを使い、適切な力で磨くことが大切です。この癖がある方は思った以上に多いように感じています。
③ 歯並びや噛み合わせなどの影響
歯並びによっては、歯を覆う骨や歯ぐきが薄い部分があり、歯ぐきが下がりやすくなることがあります。また、歯ぎしりや食いしばりなどによって特定の歯に強い力が加わっている場合は、歯や歯周組織に負担がかかって歯ぐきが下がってしまう可能性があります。
★「歯が長くなった?」と思ったら?

歯肉退縮は「歯が長く見える」という見た目の問題だけではありません。歯が長く見え、口元の印象が変わる、歯の根元が露出して知覚過敏症状が出る、露出した根元に「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼ばれるむし歯ができやすくなる、歯と歯の間にすき間ができて食べ物が挟まりやすくなるなど、さまざまな問題につながることがあります。
一度下がった歯ぐきをセルフケアで戻すことは困難ですが、原因や程度によっては、歯みがき方法の改善や歯周病治療などで進行を防ぐことができる可能性があります。「歯が長くなった?」と思ったら、一度歯科医院で歯ぐきや歯を支える骨の状態をチェックしてもらいましょう。