歯周病は手のひらサイズの傷みたいなもの!?

★ 歯周病は手のひらサイズの傷みたいなもの!?

歯周病とは、歯と歯肉の隙間に歯周病菌が侵入し、歯を支えている組織を破壊していく病気です。

日本人の歯を失う原因の第1位で、30代以降の2/3名が罹っていると言われる恐ろしい病気です。

この歯周病は、歯が抜けてしまうだけでなく、様々な全身疾患との関りがあります。

歯と歯茎の境目には、「歯肉溝(しにくこう)」という1~2mmのすき間があります。

歯周病菌は空気を嫌うので、歯垢の中の歯周病菌は、この歯肉溝から奥へ奥へと潜り込んでいきます。

すると、歯茎は炎症を起こして赤く腫れ、出血しやすくなります。これは異物である歯周病菌を追い出そうとする身体の防御反応です。

歯茎の炎症が深いところまで達すると、歯と歯茎の密着が剥がされてしまい、ポケットのような袋状のすき間ができます。

これが「歯周ポケット」です。

こうしてできた歯周ポケットには歯ブラシが届かないため、掃除が行き届かなくなります。

そして歯垢がたまって細菌の温床となり、やがて歯石になります。そして、歯石のなかで細菌がますます増殖・活性化し、歯周病の悪化を招いていく、という悪循環に陥ってしまうのです。

歯周ポケットの内面は、すり傷のような状態で出血しやすくなっています。

食事で噛むたびに血管の破れ目から細菌が体内に入ります。

全部の歯に深さ5mmの歯周ポケットがあるとすると、その歯周ポケット内の総表面積はちょうど手のひらと同じサイズになります。

つまり、手のひらサイズの傷の表面が、細菌やその毒素、炎症物質にさらされている状態なのです。

この傷から細菌が体の中に入り込み、体の調子をおかしくしてしまうことは容易に想像できますね。

★どんな病気と関係があるのでしょう?

・心臓・脳血管疾患

歯周病菌により血管内にプラーク(脂肪性沈着物)が作られ、心臓の血管内の壁に付着することで血液の通り道が狭くなり、心筋梗塞、心内膜炎などを引き起こします。

・脳梗塞

歯周病原因菌により脳の血管内にプラークが張り付くと、脳の血管が詰まって脳梗塞を引き起こすことがあります。

このほかにも、糖尿病、アルツハイマー型認知症、低体重児出産、糖尿病、誤嚥性肺炎、関節リウマチなど、様々な全身疾患と関係があると言われています。

★歯周病を予防しよう

歯周病の予防と治療の基本は、そこそこ正しい食習慣と日々の歯みがきです。

正しいブラッシング方法を身につけ、フロスや歯間ブラシなどで、歯と歯の間や歯周ポケットも清潔に保ちましょう。

また、定期的な歯科検診でプロのクリーニングを受け、自分では取り切れない汚れを掃除すること、初期の歯周病を見逃さないことが大切です。